低コストな暗渠排水再生整備工法

タイトル 耐用年数を過ぎた暗渠排水施設の機能低下による営農への支障が懸念される中、再整備をするには工事費の負担が課題となります。そこで、低コストな暗渠排水施設の再生整備工法についてご紹介します。
背景 暗渠排水の耐用年数は長くて30年であり、昭和40年代に整備したほ場の多くは、耐用年数が過ぎ、排水性が悪化して営農に支障がでています。
暗渠排水再整備の実施にあたり、通常の暗渠排水の再整備は農家負担が多いため、より低コストな工法が必要になっています。
提案する工法 今回提案する工法は、従来の工法よりも本暗渠の条数を減らし、さらに浅く埋設します。また、排水機能を補うため籾殻充填した補助暗渠を施工します。
これにより工事費が抑えられて農家負担は軽減し、さらに排水性が改善され、収穫等における作業性が向上します。
試験ほ場について1 今回試験したほ場は、西蒲原郡弥彦村の「揚枝潟地区」です。本地区は積雪寒冷探索痴態振興対策事業により、昭和44年から46年にかけて区画整理と暗渠排水を実施しています。
平成25年度に土壌調査を実施した結果、強グライ土壌に分類され、地下水位が高く、透水性の悪い土壌であることが推測されます。
試験ほ場について2 本暗渠(浅埋設)2条+補助暗渠(2m間隔)を入れた実証区と、昭和46年に設置した既存暗渠排水の対照区で、排水性等を比較しました。
平面図 試験ほ場と対照ほ場の平面図です。
赤色は今回提案する工法で、条数を減らした本暗渠、及び2mピッチの補助暗渠を配置しています。
青色は昭和46年当時に施工した既存の本暗渠です。
標準断面図 標準断面図です。右側が従来の標準設計、左が今回提案する工法です。
今回提案する工法では、標準よりも平均14cm浅く埋設し、管底まで66cm、疎水材は46cmとしています。
また排水機能を補完するため、深さ40cmの弾丸暗渠を施工し、籾殻を充填します。
本暗渠の施工(試験ほ場) 平成25年に施工した試験ほ場の本暗渠の様子です。
吸水管の陶管を従来よりも浅く埋設します。上に疎水材の籾殻を敷設していきます。
補助暗渠の施工 補助暗渠の施工の様子です。
トラクターに籾殻の入ったホッパーとサブソイラを装着し、籾殻を充填しながら弾丸暗渠を施工します。
試験結果 試験結果です。
試験ほ場では、「暗渠排水量」、「地下水位」、「地耐力」が目標値を満足しました。
それに対して従来暗渠の対照ほ場では、目標値を下回りました。
ライフサイクルコスト比較 標準設計と今回提案する工法のライフサイクルコストの比較です。
本暗渠の耐用年数を30年とし、補助暗渠は5年に1回施工(6回/30年)するものとして全体工事費を算出しました。上段の(  )は補助金150千円/10aの団体営補助事業で本暗渠を実施した場合の農家負担の実費を示します。
標準設計を100としたライフサイクルコストは、今回提案の工法では全体工事費比率で92%、農家の実負担比率で79%まで下がります。(ケース1)
さらに、新たに準備する必要がない家族労働費とトラクタ減価償却費を除くとそれぞれ80%、43%になります。(ケース2)
本暗渠(浅埋設)2条+籾殻補助暗渠の効果 今回提案した工法により、暗渠再整備の農家負担が軽減され、排水性の改善、作業性の向上が見込まれます。
また、現在、処分に困っている籾殻について、継続的な利用が可能になります。
多機能排水桝とは・・・ 今回提案した工法では、暗渠の吐き出し口に「多機能排水桝」を施工しました。
これは、従来の田区排水桝と暗渠水閘を兼ねたもので、さらに地下水位調整や田んぼダムも可能となり、コストの縮減、維持管理も容易となります。
多機能排水桝は、「Made in 新潟 新技術普及・活用制度」に登録されており、新潟県も導入を推進しています。
多機能排水桝のメリット 多機能排水桝のメリットです。
田面排水と暗渠排水のW機能により、コストの縮減、維持管理が容易となります。
暗渠排水管末端部に立ち上がり管を設置すれば、地下水位調整が容易に可能となり、地下灌漑システムとして活用できます。
田んぼダム機能により、水害を防止します。

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