緑肥植物ヘアリーベッチの すき込みによる大豆の増収技術  栽培科水田高度利用

タイトル ヘアリーベッチは、マメ科の蔓性植物で、秋に播種をすると翌年の5月中旬には50cm程度まで生育します。
目的 重粘土壌の水田転換畑では圃場の排水性が悪く、大豆の収量は低い状況にあります。 また、田畑輪換による窒素肥沃度の低下が懸念されています。 そこで、緑肥植物のヘアリーベッチを導入することによって、地力を増進し大豆の収量の向上を図ることを目的としました。
作業の流れ ヘアリーベッチ栽培作業の大まかな流れを説明します。
ヘアリーベッチを植栽するためには、前作の水稲が田んぼに植わっているうちに、ヘアリーベッチが育つために必要な根粒菌を接種します。
ヘアリーベッチは、越冬させて5月の中旬くらいまで育て、フレールモアという機械で細断して圃場にすき込みます。
その後は、基肥なしで通常の大豆栽培を行うことができます。
根粒菌の接種 ヘアリーベッチ栽培作業の流れを詳しく説明します。
大豆栽培前年の水稲立毛中に、ヘアリーベッチの生育に必要な根粒菌を潅水と同時に滴下しながら圃場全体に均一に接種します。
へアリーベッチの播種 水稲刈取り後にヘアリーベッチ種子を動力散布機で10アール4kg程度播種します。
ヘアリーベッチ種子を播種する場合は、雑草化の恐れがあるため、畦畔、農道、水路に飛散しないように注意する必要があります。
籾殻補助暗きょの施工 ヘアリーベッチは、排水性の悪い圃場では枯れて十分に生育することができません。
ヘアリーベッチの播種前もしくは後に、圃場の排水性を高めるために作溝もしくは籾殻補助暗きょを2.5m間隔程度で施工することにより、ヘアリーベッチが旺盛に生育し、大豆の増収効果が高めることができます。
生育量測定 ヘアリーベッチの生育量を測定し、草冠高が概ね40〜50cmを目安として細断します。
60cmを超える場合は、ヘアリーベッチが土中で分解される際の窒素発現量が過剰になり大豆が倒伏する恐れがあるため、大豆の栽植密度を下げる必要があります。
ヘアリーベッチの細断 ヘアリーベッチの細断は、耕起前に5月中旬にフレールモアを用いて行います。
この後の耕起作業からは一般の大豆栽培と同じになります。ヘアリーベッチは緑肥となりますので、すき込んだ圃場では基肥の散布の必要はありません。
実施場所と試験区 長岡市、燕市、新潟市の3か所の圃場で実証を行いました。
長岡市の圃場では、籾殻補助暗きょを施工してヘアリーベッチを植栽した区と暗きょのみのヘアリーベッチ植栽区、慣行区を比較しています。
燕市では、FOEAS圃場でヘアリーベッチを植栽した区と慣行区を比較しています。
新潟市では、ヘアリーベッチを植栽した区と慣行区のそれぞれで、作溝ありとなしを比較しています。
生育量と窒素集積量 ヘアリーベッチは草冠高が約30から50cmに生育しました。
これにともない窒素集積量は、約4から12g/m2になりました。
大豆成熟期の生育・収量 長岡市圃場では、籾殻補助暗きょ+ヘアリーベッチ区で、ヘアリーベッチの窒素集積量の差が現れ、主茎長が80cm以上と生育量が大きくなりました。
また、ヘアリーベッチ区の分枝数と莢数が慣行を上回り、子実重が増加しています。
燕市圃場では、ヘアリーベッチ区と慣行区でほぼ同じ主茎長となりました。
ヘアリーベッチ区の分枝数は慣行と差がありませんでしたが、莢数が慣行を上回り、子実重が増加しています。
新潟市圃場では、ヘアリーベッチによる窒素集積量は大きくなりましたが、ヘアリーベッチ区、慣行区ともに、大豆の主茎長は、ほぼ変わりませんでした。
莢数がヘアリーベッチ区で慣行を上回り、子実重が増加しています。
また、3地区ともにヘアリーベッチ区の百粒重が慣行区に比べて増加しています。
大豆成熟期の収量 大豆の収量だけをグラフ化しましたが、前述のとおり、ヘアリーベッチ区は、莢数と百粒重が慣行を上回り、子実重が増加しています。
また、排水対策を行った区で収量が増加しています。
結果と考察 ヘアリーベッチの窒素集積量は約4〜12g/m2であり、緑肥としての効果を得ることができました。
ヘアリーベッチすき込により、大豆の生育は莢数が増加し百粒重も慣行と比較して大きくなり、子実重が増加することがわかりました。
水稲後作に籾殻補助暗きょ等の排水対策を実施して、緑肥植物ヘアリーベッチを植栽し、春期にすき込むことよって、大豆が増収することがわかりました。
マニュアル 「ヘアリーベッチを利用したダイズ・エダマメ増収技術マニュアル」が冊子としてまとめられていますので、ご活用いただきたいと思います。

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