極早生で食味が良い水稲新品種「葉月みのり」

「葉月みのり」は、極早生の水稲粳品種である。「越路早生」と比べて食味が良く、収量が多く、玄米品質に優れる。成熟期が「越路早生」より3日早いため、早期出荷が可能である。

PDFダウンロード

作物研究センターでは早場米地域向けに極早生で食味が良い水稲新品種「葉月みのり」を開発したので紹介します。

「葉月みのり」開発の背景とねらいについて説明します。
8月下旬頃になると、県内のスーパーなどの店頭に新米が並び、新米を求める消費者が多くなってきます。そのため、いち早く新米に対する消費者ニーズに対応するため、県内の一部地域では「越路早生」の早植え栽培による早期出荷が行われています。
しかし、田植え後の低温による初期生育不良から「越路早生」の品質と収量が不安定であることが大きな問題となっていました。
こうした現地の問題を解決するため、作物研究センターでは、現地JAと連携し早期出荷に対応できる極早生熟期の良食味品種の開発に取り組みました。

「葉月みのり」の来歴と育成経過について説明します。
「葉月みのり」は平成8年に作物研究センターで長1308(後の新潟54号)と長1088(後の「こしいぶき」)を交配して育成しました。
選抜系統は成熟期が早く、食味もよかったことから、平成17年に「新潟83号」の系統名を付し、奨励品種決定調査・基本調査を開始しました。
そして平成22年から2か年間、県内4か所で現地調査を行いました。現地調査で欠点は認められなかったものの、その当時は極早生品種に対する現場ニーズが強くなかったため、系統を保存し、調査を終了しました。
しかし、その後、「越路早生」の代替品種として早期出荷に対応できる極早生品種の要望が現地JAから寄せられたため、平成26年から3年間、「新潟83号」の現地試作試験を実施しました。
その結果、成熟期や収量性、食味が優れ、「越路早生」の代替品種として有望と認められたため、品種登録し、普及することとなりました。

次に「葉月みのり」の特性について説明します。草型は中間型になります。作物研究センターで中苗を5月中旬に移植した試験での出穂期は7月21日、成熟期は8月25日で、越路早生より3日、こしいぶきより9日早い成熟期となっています。稈長は84cmで、穂数は越路早生やこしいぶきよりもやや少ない傾向があります。

耐倒伏性は中ですが、穂発芽性はやや易、障害型耐冷性はやや弱、高温耐性は中の特性を示します。
いもち抵抗性は、葉いもちは中ですが、穂いもちには弱いので注意が必要です。

収量及び玄米品質について説明します。
「葉月みのり」の収量は10アール当たり556kgで「越路早生」より約30kg多いですが、「こしいぶき」よりはやや少ないです。
千粒重は、「越路早生」や「こしいぶき」と同等です。玄米品質は「越路早生」より優れ「こしいぶき」並みです。
玄米の写真は平成29年産のものですが、「越路早生」よりも乳心白や腹白が少なく「こしいぶき」と同等の品質でした。

食味と成分について説明します。
食味官能試験は年2回実施しており、当年度は11月に行い、梅雨越しは翌年7月に実施した結果です。
「葉月みのり」の食味は、当年度と梅雨越しの両方で「越路早生」より優れていました。
また、炊飯米のツヤと食味は高い相関があることが分かっていますが、炊飯米のツヤを表す味度値は「こしいぶき」並みに高いです。
(写真は左が食味試験、右が味度メーターで味度値を測定している様子です。)

次に「葉月みのり」の栽培上の留意点について説明します。
極早生品種に共通する留意点として、早生品種よりも割れ籾が多いため、斑点米カメムシ類の防除が必要です。
また、出穂期が早くスズメの害を受けやすいため、スズメの多い場所を避けることや栽培の団地化が必要です。
品種特性に由来する留意点として、穂発芽性がやや易であるため、倒伏や刈遅れしないよう注意してください。
穂いもちには弱いため、防除を徹底してください。障害型耐冷性がやや弱いため高標高地での作付けは避けてください。
種子の入手につきましては、県庁農業総務課(電話025-280-5288)までお問い合わせ下さい。

作物研究センターでは、平成16年に酒米の「越淡麗」を開発しました。
これは、県産米100%の大吟醸酒を作りたいという県内酒造組合の要望に応えるため、県醸造試験場などと連携して取り組んだ成果です。
「葉月みのり」も、いち早く新米需要に対応できる極早生品種を要望するJAや普及指導センターとともに取り組んだ成果です。
作物研究センターでは、今後も現地課題を解決する品種開発に取り組んでいきます。