有機栽培水田で利用する簡易なチェーン除草機の作製方法とその雑草低減効果

長さ2mの角棒に25mm間隔でチェーンをのれん状に接続し約7kgのチェーン除草機を作製します。これを用いて水稲移植後2-4日目から5-7日間隔で4-5回作業すると、出穂期の雑草残存本数と乾物重が半減します。

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幾多の試作機の中から現段階で最適な設計を提示します。

必要な部材は金物屋やホームセンターで入手します。 角棒とチェーンをヒル釘で固定することにより、チェーンの遊び(浮き上がり)を抑えられます。
チェーンと土壌表面の密着性が向上するため、チェーン短く(環)しても除草効果は維持できます。
また、角棒に重りを載せることによってチェーンの接地圧力を調節出来るため、田面と水稲の状態に合わせた作業が可能となします。

チェーンが撹拌できる土壌は表層1cm以内であるため、それよりも深い層から出芽してくる雑草に対する除草効果は限定的です。ただし、物理的な揺さぶりや田面水の濁りによる遮光などの間接的な効果は想定できます。

チェーン除草は雑草の根絶を目的とするものではないため、水稲の生育が良好でない場合には残草の生育が旺盛となって水稲の生育をさらに阻害する可能性があります。
従って、特に水稲の初期生育を旺盛にするための土づくりや肥培管理などの下準備が重要になります。
さらに、水稲と雑草残草の競合を有利にすすめるためには成苗移植が有利です。
また、チェーンによる物理的な損傷(浮き苗など)を防止し、移植後すみやかに除草作業を実施するためには発根力のある(活着の良い)苗を移植することも必要です。
苗の引き抜き抵抗力の目安については後述します。
チェーン除草によって雑草幼芽を田面に浮遊させるため、作業時は5cm以上の湛水状態で行い、浮遊した雑草幼芽の再活着を防止するため、湛水環境を維持します。
作業時に湛水深が浅いと泥が稲に被って起き上がれなくなります。
雑草は斉一に発芽するわけではないため、移植後は毎週1回以上の作業が望ましく、最高分げつ期を過ぎて目標茎数を確保するまで継続すべきです。
それ以降は稲よりも大きくなるヒエなどの雑草や塊茎雑草に限って局所的に手取りする程度とします。

試験圃場では水稲の植条に沿って牽引していますが、実用上は縦横斜めいずれの方向でも支障はありません。
写真のように雑草幼芽が田面水に浮遊します。

 

 

 

出穂期における雑草残草個体数および雑草乾物量は、4回のチェーン除草作業により無除草区に較べて半減しました。
一方、収量は無除草区よりも高くなりました。
本試験結果は、長岡市のコシヒカリ有機栽培試験水田 (除草剤不使用10年以上、細粒グライ土、市販有機肥料5kgN/10a、コナギ埋土種子量10万粒/m²、ホタルイ埋土種子量10万粒/m²、ヒエ埋土種子量2千粒/m²) によります。

チェーン除草作業に耐える稲株引き抜き強度をデジタルフォースゲージを用いて検証した。

苗質の異なる水稲苗の稲株引抜強度を移植3日後にデジタルフォースゲージで測定したところ、移植苗の葉色が濃いほど引き抜き強度が高まる傾向が示唆されました (実際には移植時の土壌や温度の影響もあります)。
チェーン除草作業時の稲株の最低引抜強度が28gf以下では浮苗を生じる場合がありました (実際には稲株の地上部の大小による影響もあります)。
実用的には、単一乾電池 をひもで釣り上げる 程度の抵抗があれば浮き苗の心配はないと判断できます。