平成27年度 研究成果情報
連作が可能なアスターの簡易な養液栽培
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[要約]

 長繊維不織布を栽培床にして培養液を循環供給する簡易な装置で、連年アスターの切り花が栽培できる。

[背景・ねらい]

 簡易装置による園芸作物の養液栽培が注目されている。アスターは盆花に不可欠で、盆前出荷では比較的有利な品目である。またアスターは土耕では連作を嫌い数年の作付け間隔が必要で、ほ場の制約もある。そこで連作の影響を受けにくい簡易装置での養液栽培法の一例を示す。

[内容]

1 播種はミツバ栽培用のウレタンキューブを充填した育苗箱(スチロール製内径575×275×30mm)に飽水して行う。育苗箱を蓋に遮光し、根がキューブ のスリットへ伸長確認後開放し、以降園試処方*に準じた培養液(以下養液、EC:0.8dS/m程度)で育苗する(図)。

2 定植は発砲スチロール板などに養液と根の保持のためのD社製ポリエステル製長繊維不織布を敷き、養液で湿らせた上に行う。定植孔を開けた 白黒ダブルマルチを浮きがけ被覆し、定植孔に切り離した苗を静置する(図)。定植時アルギン酸ナトリウム0.5%溶液を底部に付けて静置すると固 
 着に有効である。

3 定植後養液の供給はかん水チューブなどで日中は毎時4ℓ/㎡程度の給液を行い、夜間は3時間程度の間隔で給液する(表1)。天候やシートの水 分状況を見ながら調整する。養液は排水せず、シートからあふれた養液は回収・再供給する。減液分はボールタップを使って1日に4回程度追加培 養液タンクから自動的に補充すると良い(図)。

4 養液濃度は当初EC:0.8dS/m程度で茎伸長始め頃からEC:1.1dS/m程度とし、分枝が伸長して花蕾が肥大を始める頃からは水の追加だけでも  品質に影響はない(表2)。

5 使用済みのシートは消毒を行えば再利用が可能であるが、ベンゾチアゾールによる消毒は開花が数日遅延する(表3)。
  *園試処方:農水省園試開発の汎用型水耕用液肥の処方。市販品にも同様の処方がある。

[導入効果]

  施設を活用した簡易な装置による切り花栽培の参考となる。

[導入対象]

 県内全域の園芸生産を志向する農家・法人

[留意点]

1 主にマイクロアスターの品種「ステラローズ」を使っての検討である。
2 かん水チューブはN社製点滴チューブ(10cmピッチ、吐出量0.08~0.11㍑/分/m、0.06MPa)を使用した。
3 養液栽培は土耕のような緩衝作用がないので、生育異常などが確認された場合はただちに養液を交換する。
4 根部の支持が不十分なので必ずフラワーネットを設置する。
5 プール育苗施設を活用した施工も工夫次第で可能である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:花きのブランド確立と複合営農を加速するための生産流通技術の開発
予算区分  :県単経常
研究期間  :平成24~26年度
発表論文等:なし
農業総合研究所園芸研究センター
環境・施設科 
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