耐倒伏性が強く、品質が高い水稲早生粳品種「ゆきん子舞(新潟71号)」

[要約]

 「ゆきん子舞(新潟71号)」は、早生の中間型に属する粳種である。耐倒伏性が強く、品質も高いことから、地力窒素の発現が大きくなりやすい転作あとのほ場において安定した栽培が可能である。

[背景・ねらい]

 新潟県における転作作物の主力は大豆である。大豆などの転作あとの水田は地力窒素の発現が大きく、作付け品種が制限される。そのため、地力の高い条件に適応した耐倒伏性に優れる品種を開発し、転作あとの水稲の安定栽培を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 育成経過
      「ゆきん子舞(新潟71号)」は、新潟県農業試験場(現新潟県農業総合研究所作物研究センター、長岡市)において、昭和63年に「山形35号」(後の「どまんなか」)を母親、「新潟20号」(後の「ゆきの精」)を父親に人工交配し、以後系統育種法により選抜固定した。平成6年から生産力検定および特性検定を行い、平成12年には「新潟71号」の系統名を付し奨励品種決定調査に供試した。平成16年で雑種第16代である。
  2. 生育特性および収量性
    1. 出穂期及び成熟期は、「ゆきの精」よりも3日程度早い早生の粳種である。葉身及び葉鞘の色は「ゆきの精」に似た淡緑色である。草型は中間型、稈長、穂長および穂数は「ゆきの精」並である。やや短い芒が少程度生じ、ふ先色は黄白、脱粒性は難である(表1)。
    2. 稈はやや太くやや剛稈で耐倒伏性は強、穂発芽性は易である。いもち病抵抗性推定遺伝子型はPia,iと推定され、ほ場抵抗性は葉いもちおよび穂いもちともに中である(表1)。
    3. 収量および千粒重は「ゆきの精」並である。
  3. 品質および食味
      玄米の外観品質は「ゆきの精」よりも優れ「こしいぶき」並、食味は「ゆきの精」より優れるが、「こしいぶき」より劣る。水飯米の光沢を示す食味評価値(味度)および玄米のタンパク質含有率は「ゆきの精」並、アミロース含有率は「ゆきの精」より高い(表1)。
  4. 多肥条件における特性
      多肥条件において、「新潟71号」の耐倒伏性は「新潟早生」より劣るものの、「ゆきの精」、「こしいぶき」および「あきたこまち」よりも高い。玄米の外観品質は、「ゆきの精」、「こしいぶき」、「あきたこまち」および「新潟早生」より優れる(表2)。  

[成果の活用面・留意点]

  1. 種子対策品種として、平成18年より高標高地(400m以上)を除く県内全域に普及を図る。普及対象面積は3,000haである。
  2. 大豆などの転作あとに栽培する。
  3. 穂発芽し易いので、倒伏を助長するような過度の多肥多収栽培は避ける。

[具体的データ]

[その他]

 ○品種登録・・・登録番号:第16012号、登録日:平成20年2月22日

研究課題名:大豆跡水稲の安定栽培技術の確立と適応良質品種の早期開発
        水稲の基幹新品種の育成
予算区分:県単特別、県単経常
研究期間:平成13〜16年度、平成9〜16年度
発表論文等:平成16年度品種登録出願
農業総合研究所 作物研究センター 育種科 連絡先 TEL 0258-35-0047
FAX 0254-35-0021

 平成17年度 新潟県農林水産業研究成果集