高冷地における雪下栽培ニンジンの越冬中の成分変化特性

[要約]

 本県の多積雪地では雪下栽培ニンジン生産の普及が図られてきた。この雪下ニンジンは長期間の積雪下でも、糖質やビタミンの含有量は保持され、甘みや旨味を呈するアミノ酸含量が増加する。また、特有のニンジン臭さが減少し、香りはマイルドになる。

[背景・ねらい]

 雪下でニンジンが美味しくなる。
 本県の多積雪地において、ニンジン栽培の規模拡大と作期の延長、出荷期の調整をねらいとして、雪下栽培ニンジン(雪下ニンジン:または「雪味ニンジン」と呼ばれてきた)の生産安定技術と普及が図られてきた。この長期間積雪下におかれ、雪消えとともに収穫出荷される雪下ニンジンは、味と香りがよいことから消費者に好まれてきた。
 そこで、これらの客観的データを示し、有利販売を進める。

[成果の内容・特徴]

  1. 雪下ニンジンの特性を以下に示す。
    (1) 雪下ニンジンの官能検査では冬越後の出荷期には「外観が良く、香味も好ましく、甘さが
      あり、歯切れもよい」と評価される(表1)。
    (2) ニンジンに含まれる主要な糖質はシュクロース、グルコース、フルクトースの 3種類であ
      り、それぞれの構成比は積雪下の越冬期間中に、ほとんど変化せず糖質含量が維持される
      (表2)。
    (3) 雪下ニンジンは積雪下の越冬期間中に、甘みや旨味を呈するアスパラギン、グリシン、セ
      リン等の遊離アミノ酸含量が増加する(表2)。
    (4) 雪下ニンジンは積雪下の越冬期間中に、アスコルビン酸(ビタミンC)の含有量は一定に
      保持される(図1)。
    (5) 雪下ニンジンの香気成分量は、積雪下の越冬期間中はほとんど変化なく、4月の出荷時期
      に急増( 2.7倍)する。種々の香気成分量のうち、より好ましい芳香で香りの豊かな成分で
      あるカリオフィレン (β-caryophyllene ) は、積雪下の12月から 4月にかけて12.6倍に増加
      してニンジンの総香気成分量の32%を占める(表3)。
  2. 以上のことから、本県の雪下栽培ニンジンは「味はマイルドで甘く、香りがよく、歯切れの
    よい食感である」と言える。

[成果の活用面・留意点]

  1. 雪下栽培ニンジンの普及と生産拡大を進めるための、特性を示す資料となる。
  2. 本県の多積雪地(高冷地の火山灰土地帯)でのニンジン栽培に適用できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名 : 雪下ニンジンの特性解明試験
         ニンジンの雪下貯蔵に伴う食味および香味成分の変化
予算区分 : 県単経常・新潟女子短大共同研究事業
研究期間 : 平成8〜11年度
発表論文等 : ニンジンの雪下貯蔵による食味および香味成分の変化、日本農芸化学会誌73巻
        (福岡大会講演要旨集)、1999
        雪と食とのかかわりあい、平成9・10年度新潟女子短大共同研究事業報告書、1999
        特産品開発に伴う試験研究結果報告会資料(中里村)、1999

農業総合研究所高冷地農業技術センター

連絡先

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