大豆の連作と成虫発生量を指標にした マメシンクイガの防除のめやす

タイトル マメシンクイガの発生予察法です。
マメシンクイガと大豆の被害 マメシンクイガは大豆の子実を食害する、重要害虫です。
マメシンクイガの被害粒と大豆の検査基準 マメシンクイガの被害粒は一般にその食害程度が大きく、多くは検査基準に定めた「著しい被害粒」に該当します。検査基準では、2等における著しい被害粒の混入限界は2%ですので、生産上の目標は、被害粒率を2%以下に抑えることとなります。なお、被害粒の一部は選別機で除去されますので、収穫時の被害粒率が2%を多少上回っても出荷段階では問題がない場合もあります。
防除上の問題点 マメシンクイガは大豆の最重要害虫で、この防除のために毎年、殺虫剤散布が行われています。殺虫剤の種類や散布時期・回数はほぼ固定されています。この結果、防除が不十分で被害が発生する場合や、無駄な防除が実施されている場合があります。これを改善するには、マメシンクイガの発生量(被害発生リスク)に応じた防除に転換する必要があり、そのためには被害発生量を予測する技術が必要です。
マメシンクイガの年間の発生消長 マメシンクイガの年間の発生消長です。この害虫は10月から翌年の8月まで土中で過ごすことが大きな特徴です。
被害発生量を予測する技術 被害予測に利用できる指標としては何があるでしょう?マメシンクイガの被害は大豆を連作すると多いことが経験的に知られています。また、幼虫が土中で越冬し、それが翌年の発生源になりますので、幼虫数(幼虫数の調査は困難なので、幼虫数の代わりに被害粒数を使用)が指標として使えそうです。マメシンクイガ成虫は、フェロモントラップで簡単に調査できますので、これも指標にできそうです。
大豆連作ほ場における被害粒率の年次推移 まず、連作と被害の関係をみてみます。大豆連作ほ場で、2年以上継続して被害調査を行った結果です。いずれのほ場もマメシンクイガに対する適期防除はされてなく、ほぼ無防除に近い条件です。ほ場によって増加のパターンは違いますが、連作に伴い被害が増加することは確実です。効果の高い防除がされない場合、前年より被害は多くなります。
連作ほ場と初作ほ場における成虫、被害粒発生量の違い 連作ほ場と初作ほ場が混在する地区で、それぞれの成虫発生量(フェロモントラップ誘殺数)と被害粒率を比較しました。連作ほ場は13ほ場、初作ほ場は7ほ場です。連作ほ場は、成虫発生量、被害粒率のほ場間差が大きく、全体に多く。初作ほ場ではいずれのほ場も極めて少ない結果です。連作と初作では明らかに違いがあります。
連作ほ場と初作ほ場の誘殺数と被害 初作ほ場と連作ほ場が隣接している場合の発生実態です。フェロモントラップ誘殺数(成虫数)と被害粒率を示しています。連作ほ場は多発生ですが、これに隣接した初作ほ場でも成虫の発生があり、連作ほ場から侵入したとみられます。ただし、成虫数は連作ほ場に比べ少なく、被害粒率は1/10程度に収まっています。初作ほ場でも、このような条件では被害が発生する場合がありますが、多発生することはないとみられます。
田畑輪換実施地区におけるマメシンクイガの発生実態 地区全体で田畑輪換を行っている場合の発生実態です。H27の長岡市B地区で少し連作ほ場がありますが、これは2年目のほ場です。成虫数、被害粒は極めて少なく、ほぼ0です。防除の影響を考慮しても、極めて少ないといえます。
大豆連作と前年被害を指標とした防除要否判断 ここまでのまとめです。このような結果が得られた要因としては、土壌中に存在する幼虫は、水田転換によりほとんどが死亡すること、成虫の発生源が前年に被害が発生した大豆連作ほ場に限られることが考えられます。
大豆連作と前年被害を指標とした防除要否判断 これをもとにした、防除要否判断のやりかたです。連作ほ場で、前年に子実被害があたほ場では、徹底した防除が必要です。一方、初作ほ場で付近に連作ほ場がない場合は、防除は不要です。その中間のほ場では通常の防除が必要です。
フェロモントラップによる被害予測 今示した防除要否の判断法は簡単ですが、精度は高くありません。より精度高く判断するには、当年の成虫の発生量を調査する必要があります。成虫は小型で目立たない色のため、ほ場内で、目視により確認するのは容易ではありません。フェロモントラップにを利用することで、簡単に確実に成虫の発生量を確認することができます。
マメシンクイガの発生消長と防除適期の関係 マメシンクイガの成虫は8月中旬から9月中旬まで発生します。ピークは8月末〜9月初めです。成虫は莢に産卵し、ふ化した幼虫は莢内に食入して、子実を食害します。防除のねらいは幼虫ですので、防除適期は一般的には9月上旬、残効が長い殺虫剤では8月第6半旬頃です。
マメシンクイガの薬剤防除法 防除適期をさらに詳しく示します。マメシンクイガの発生量により、殺虫剤の種類や、防除時期・回数に違いがあります。ポイントは、多発生ほ場では、8月第6半旬からの防除が必要なことです。
フェロモントラップ誘殺パターンと防除適期の関係 成虫の発生時期は8月中旬〜9月中旬ですが、防除適期は、多発生時は8月第6半旬、通常の発生では9月第1〜2半旬ですので、防除要否はこれに間に合うように判断する必要があります。時期が早ければ予測の精度は低下しますので、具体的には、8月25日頃まで、あるいは8月末までに判断する方法をめざしました。
誘殺数と被害粒率の関係 多発生か否かを判断するものです。多発生は被害粒率が10%を上回るレベルとしました。グラフは8月25日までの誘殺数と被害粒率の関係を示します(横軸が対数目盛ですので注意してください)。10頭以上では、被害粒率が10%を上回る場合が増えてくることから、10頭以上で多発生に対応した防除が必要としました。10頭未満では、調査を継続した、次の段階で要否を判断します。
誘殺数と被害粒率の関係 9月第1〜2半旬の防除要否を判断する方法です(これ以前に殺虫剤散布がされていないほ場が対象です)。誘殺数15頭以上で被害粒率2%を上回る場合が増えてきますので、15頭以上で防除必要とします。
トラップ誘殺数による防除判断 フェロモントラップ誘殺数による防除要否判断のまとめです。
どの予察法を使う? 今回は、大豆連作等を指標とした方法とフェロモントラップ誘殺数を指標した方法を紹介しました。どの方法を使うかはそれぞれの状況に応じて判断してください。

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