水稲有機栽培におけるポット成苗移植と深水管理によるヒエの抑草効果

タイトル 農業総合研究所佐渡農業技術センターにおいて、平成25年度〜平成27年度に行った水稲有機栽培試験からまとめた成果です。
新潟県における水稲有機栽培の面積 有機JASの水稲面積の多い県上位は、ここに示したように、新潟県も多い方に入ります。
しかし、水稲作付面積に占める面積比率は、JAS有機及びJAS有機を含まない有機栽培全体でも、0.35%と大変低い値です。
この値は、近年横ばいで、増えていません。
研究の背景 増えない要因の一つとして、水稲の有機栽培では、除草に多大な労力がかかることが挙げられます。
雑草対策が最も大変で、そのための労力および時間の投入が多く必要だからです。
誰でも取り組みやすく、比較的簡便な方法で雑草対策ができる方法について検討しました。
水稲の収量に最も影響する草種は「ヒエ」 既に、「水稲のポット成苗は活着が優れ、雑草との競合に有利なため、有機栽培に適している」という技術が輩出されています(農総研 平成23年度活用技術)。
ポット苗を用いると、植え痛みが少なく根の張りが早いため、移植後の雑草との競合に有利で、収量も多く確保できるという技術です。
一方で、ヒエについては、草丈も長くなり、水稲の収量に影響が大きい点が問題です。
ヒエは深水栽培により生育が抑制されることが知られているため、ポット苗移植において、深水管理を組み合わせる方法を検討しました。
移植7日後から4週間、深水管理を行い、ヒエの発生量と水稲の生育への影響を検討した。
活着する移植7日後から深水管理を開始しました。
水深は10僉憤幣紂砲15僉憤幣紂砲2水準を設定しました。
品種は「コシヒカリBL」、ポット苗(葉齢4.5〜5L)を用いました。
雑草の発生を遅らせるため、代かきは移植の2〜3日前に行っています。
深水管理は約4週間(25日程度)継続しました。
深水栽培による雑草発生量への影響 ヒエは、出芽に酸素を多く必要とする雑草ですが、出芽時期頃から深水とするため、出芽しにくくなります。
また、出芽したヒエも、軟弱になって生育が抑制されます。

その結果、水深5儖米發隆傾堙水管理(平成23〜24年度)に比べ、深水管理区のヒエの発生は少なくなりました。
特に水深15僂両豺腓漏無となりました。収量は多くなりました。
なお、コナギ等は発生しますが、水稲の陰に隠れるため収量への影響は大きくないと考えています。
水稲の生育 水深10cmと15cmとの比較です。
15cmでは倒伏程度が明らかに大きくなり、それに伴い玄米の整粒歩合も低下しました。
また、深水に耐えられる畦畔や漏水防止対策など、ほ場管理も難しくなると考えられます。
そこで、水深10cmの深水が実用的と判断しました。
具体的には、開始時に水深12cm程度にして、10cm程度まで減ってきたときに水を足すという作業を繰り返しました。
本技術の主なポイント 本成果の技術のまとめ(ポイント)です。

代かきは移植の2〜3日前に行うことにより、雑草の発生をなるべく遅らせます。
さらに、移植1週間後から約4週間の深水栽培(水深10cm以上を確保)をおこなうことで、ヒエの発生や生育を抑制します。
その後は中干しを実施し地耐力を確保します。
水深管理だけという、比較的簡単な方法により、ヒエの発生を抑え、有機農業に新たに取り組むことが容易になると考えています。主な耕種概要は、基肥として鶏糞を窒素6kg/10a施用しました(雑草との共存下のため、多めに入れています)。穂肥は窒素で3kg/10a施用しました。
今後は、マット苗移植においても深水管理が実用的かどうかの検討も行っていく予定です。

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