良食味で高温耐性が強い水稲晩生新品種「新之助」

タイトル 水稲晩生品種「新之助」の開発の経緯と特性について、説明します。
「新之助」開発の背景・ねらい 「新之助」開発の背景として、高温登熟による米の品質低下への対策、台風等の気象災害の回避が本県稲作の課題となっていました。そこで、高温登熟条件下でも品質に優れ食味値も高い品種、またコシヒカリよりも熟期を遅らせることにより、作期分散と気象変動に伴うリスクを回避できる品種を目標として、「新之助」の開発が行われました。
「新之助」の系譜・育成経過 「新之助」は新潟75号と北陸190号の交配組合せから育成された品種です。新潟75号は大変食味に優れていた系統です。キヌヒカリ、南海129号、どんとこいはコシヒカリの血を受け継いでいます。育種期間を短縮するために平成16年の秋から平成17年にかけて、温室栽培により1年間に3世代を進めました。
平成24年から3年間、県内14カ所で奨励品種決定現地調査を行い、地域適応性を検討しました。そして高温条件下でも品質、食味に優れること、コシヒカリとの作期分散と気象変動に伴うリスクを回避できることから、平成28年4月に奨励品種に指定されました。
「新之助」の稲姿 「新之助」はコシヒカリに比べると穂数が多めであり偏穂数型の草型になります。コシヒカリよりも成熟期が7日遅いため、コシヒカリとの作期分散に適しています。稈長がコシヒカリよりも16cm程短い品種です。
(表の数値は、作物研究センターで実施している奨励品種決定調査の5カ年平均の数値です。コシヒカリについては、コシヒカリBLを表しています。)
「新之助」の諸特性 「新之助」は耐倒伏性がやや強、穂発芽性が中、障害型耐冷性が弱、高温耐性が強になります。平成22年の記録的な猛暑の中でも玄米品質に優れ、高温耐性に強いことが評価されました。いもち病の抵抗性は、葉いもちがやや弱、穂いもちが弱ですので、いもち病の防除が重要になります。
「新之助」の収量・品質 「新之助」を篩い目1.9mmで調製したときの収量は596kg/10a、1.85mmで調製した収量は579kg/10aです。新之助は千粒重がコシヒカリよりも約1g大きいことが特長です。
達観による玄米品質、穀粒判別器で測定した整粒歩合ともに、コシヒカリよりも優れています。
「新之助」の食味 食味試験は、基準となる品種(ここではコシヒカリを用いています)と、外観、香り、味、粘り、硬さについて比較し、さらに総合評価を行います。新之助は当年度(11月頃の食味試験結果)と梅雨越し(翌年の梅雨を越した7月頃に食味試験を行った結果)の両方で、高い評価が得られています。
「新之助」は、炊飯米につやがあり、食べたときの甘みと粘りに特長があります。
「新之助」の成分 これは、食味分析計で味度値を測定しているところです。味度値は、食味コンテストでも利用されていますが、食味試験の結果とかなり高い相関が認められています。「新之助」はこの味度値が高い品種です。
玄米タンパク質含有率はコシヒカリよりもやや低く、白米アミロース含量はやや高めとなっています。
「新之助」の導入効果 「新之助」は、コシヒカリとの作期分散が可能で、高品質・良食味米の生産が期待されます。このことは、新潟米のブランド力をさらに高めることに繋がります。
特に大規模経営においては、コシヒカリと作期分散ができるため、適期刈り取り、機械の有効利用、気象変動のリスク回避など、メリットが大きいと考えられます。
要約と留意点 「新之助」は、食味が極めて良く、高温耐性が強い品種です。成熟期がコシヒカリよりも7日遅いため作期分散が可能になります。
しかし、いもち病に弱いことに加え、障害型耐冷性も弱いという欠点があります。そのため葉いもちを確実に防除することが重要で、地域の安全出穂期晩限や標高を考慮して作付けする必要があります。
栽培指針に則した栽培により、一定レベル以上の食味・品質を確保して、トップブランド米に育てましょう。

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