コシヒカリの有機入り肥料栽培における移植前追肥が本田初期生育に及ぼす効果  栽培科高品質栽培

タイトル
コシヒカリの有機入り肥料栽培の現状 新潟県における一般的なコシヒカリの栽培法である、有機入り肥料栽培の問題点について、説明します。
まず、稚苗の育苗期間が長くなっています。
長すぎる育苗期間の苗を移植するため、初期生育が劣り、初期の分げつの確保が遅れる傾向があります。
そして、分げつの確保のために中干しの開始時期を遅らせた結果、幼穂形成期に軟弱な稲や、過剰生育となり、穂肥が不十分となりがちです。
出穂後の高温に対応できる十分な後期栄養が不足するため、品質が不安定となります。
以上から、高品質安定生産のためには、まず適正な育苗による本田の初期生育の向上が課題です。
育苗日数の現状1 近年、移植時期を5月10日頃に遅らせる適期植えが定着しました。
しかし、播種時期については移植時期をずらした分、遅くなっておらず、育苗日数が長い事例が多くなっています。
育苗日数の現状2 稚苗の育苗日数のめやすは18〜20日、葉数は2.0葉がめやすですが、ほとんどの事例で育苗日数は20日以上で葉数は2.2葉を超えています。
育苗日数と2号分げつの発生について この図は育苗日数及び移植後の気温条件の違いによる2号分げつの発生率を示しています。
気温22度では育苗日数にかかわらず、2号分げつは全て発生しますが、低温条件(18度)では育苗日数20日及び葉数2.2葉を超えるような老化した苗では分げつの発生率が低下します。
本田初期の低温条件では老化苗の初期分げつが劣ることがわかります。
育苗日数の現状2 以上から、初期生育の向上のためには稚苗の育苗日数の適正化が基本です。
しかし、育苗期間の気象変動等により老化苗となった場合の、初期生育向上対策も必要です。
ねらい そこで、中干しの適期実施に向けた初期生育の向上のために、稚苗育苗における適正な育苗日数と、老化苗を含めた移植前追肥の効果について検討しました。
試験方法 苗の種類として育苗日数2水準(健苗・老化苗)及び移植前追肥の有無2水準の組み合わせによる4種を用いました。
移植後の低温を想定して、温度条件を無処理(平温)条件と活着後の遮光による低温条件を設定しました。
育苗日数と苗質 試験に用いた苗の苗質等について年次別、試験場所別に示しました。
健苗は2.0〜2.2葉、老化苗は2.3葉以上となっています。
移植前追肥は移植前4日に、窒素2gを箱あたり2g施肥しました。
育苗日数、移植前追肥と活着の良否 育苗日数(健苗及び老化苗)及び移植前追肥の有無による移植10日後の株の引抜き抵抗値で表される苗の活着の良否を示しました。
育苗日数20〜21日の健苗に比べて、27日以上の老化苗は活着が劣り、移植前追肥により活着が向上することがわかります。
遮光による低温処理の様子 活着後、移植後11日以降の遮光による低温処理の様子です。
処理時の地温は遮光による低温処理区で無処理区に比べて2.4℃低下しました。
移植1か月後、中干し開始時期頃の茎数 移植1か月後(中干し開始時期頃)の茎数を健苗・老化苗及び移植前追肥の有無別、初期温度条件別に示しました。
老化苗を移植すると、低温条件では茎数の増加が緩慢となりますが、移植前追肥により移植1か月後の茎数の増加が健苗並みとなることを示しています。
茎数の推移1 移植1か月後(中干し開始時期頃)の茎数を健苗・老化苗及び移植前追肥の有無別、初期温度条件別に示しました。
老化苗を移植すると、低温条件では茎数の増加が緩慢となりますが、移植前追肥により移植1か月後の茎数の増加が健苗並みとなることを示しています。
茎数の推移2 しかし、移植前追肥を施用することで老化苗の初期生育が向上し、中干し時に必要な茎数の確保が早まり、中干し開始時期について、健苗を移植した場合と同じ時期まで早めることができます。
留意点 留意点としては、健苗に移植前追肥した場合は特にそうですが、気象等により過剰分げつになる場合があるため、生育を見極めて適期に中干しを実施しましょう。
徒長苗やマット形成が不良な苗では、移植前追肥すると萎凋等の障害が発生することがあるので施用を控えましょう。

>>平成27年度主要成果解説のページに戻る

>>ホームページに戻る