平成26年度 研究成果情報
コシヒカリ栽培で化学肥料を高窒素鶏ふんペレット肥料で全量代替できる
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[要約]

 密閉縦型発酵装置によって製造された高窒素鶏ふんペレット肥料のみでコシヒカリの有機質肥料栽培が可能であり、収量・品質・食味とも慣行の化学肥料栽培と同程度である。施肥成分量・施用時期については化学肥料と同様に扱うことができる。

[背景・ねらい]

  国際的な肥料原料の高騰により肥料価格は近年上昇しており、今後、比較的窒素含量が高い鶏ふん堆肥を化学肥料代替として使用することが想定されるが、肥効が不明な場合や散布方法が容易でないなどのため普及していない。そこで、密閉縦型発酵装置によって窒素気散を極力抑え製造された「高窒素鶏ふんペレット肥料」を用い、基肥と穂肥の化学肥料を全量代替する栽培法を開発する。

[内容]

  1.  加工家きんふん肥料として販売されている「高窒素鶏ふんペレット肥料」は従来の発酵鶏ふん(以下、低窒素鶏ふん堆肥)に比べて土壌中で速やかに分解される(図1)。土壌中の期間別無機化量は化学肥料を施用した場合と同程度である。形状は4mm×8mmのペレットである(図2)。
  2.  「高窒素鶏ふんペレット肥料」を用いたコシヒカリ栽培においても収量・品質・食味は、慣行の化学肥料と同程度であることから、化学肥料全量代替栽培ができる(表2、3)。施用量は化学肥料と窒素成分で同量施用する(表1)。
  3.  基肥の施用時期は代かきかんがいの直前とし、穂肥は出穂前18日と10日に分けて施用する。また、背負式動力散布機で散布可能である。
  4.  生育・収量が化学肥料栽培に比べて劣る場合は、次年度以降1~3割程度の増肥を検討する。

[導入効果]

  1. 本肥料のみで化学肥料全量代替栽培が可能であるため、有機栽培に利用できる。
  2. 低窒素鶏ふん堆肥のみの栽培よりもメタン発生量が少なく、環境への負荷が小さい(発表論文参照)。

[導入対象]

 有機質肥料でコシヒカリ栽培に取り組む生産者

[留意点]

  1.  「高窒素鶏ふんペレット肥料」は、現在新潟県内では生産されていない。JA等へ発注する必要がある。
  2.  散布量は従来の発酵鶏ふんに比べて少ないが、化学肥料に比べて3倍以上となる。若干の臭気があるので散布時の風向きに注意する。
  3.  リン酸・加里成分については化学肥料に比べ施用量が少なくなるので、土壌分析値が改良目標値に達しているか、もしくは試験栽培によって問題がないことを確認して導入する。
  4.  従来の堆肥施用のように前年の秋に施用すると、含まれている窒素が脱窒・流亡するため生育が劣り、収量が低下する。また、同様な理由で施肥から代かきかんがいまでの間が2週間以上開くと、窒素肥効が低下する。

[具体的データ]


[その他]

研究課題名:水田における堆肥中リン酸の利用技術の開発
予算区分  :農林水産省委託プロジェクト研究
        1 地域内資源を循環利用する省資源型農業の確立のための研究開発 1系
        2 気候変動に対応した循環型食料生産等の確立のためのプロジェクトB1系
研究期間  :1 平成21~22年度、2 平成23~25年度
発表論文等:日本土壌肥料学雑誌 82(5) 401-401(2011)
農業総合研究所作物研究センター 栽培科 連絡先 TEL 0258-35-0836
FAX 0258-35-0021