活用技術 平成25年度
マンガンの施用による水稲秋落ちの抑制効果
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[要約]

 水稲の秋落ち、イネごま葉枯病が多発生する地域ではマンガンを含有する肥料の施用により減収が抑制できる。

[背景・ねらい]

 環境保全型農業の普及により、水稲の防除殺菌剤の使用量や防除回数の低減が図られてきた。しかし、地力の低い砂質水田を中心に秋落ちとイネごま葉枯病が広がる傾向にあり、減収や品質低下を引き起こした。水稲の秋落ちには土壌の養分条件が大きく左右することから、耕種的対策として肥料による効率的な秋落ち抑制手法を提供する。

[成果の内容・特徴]

  1.  一般の水田土壌は易還元性マンガンを数十〜数百ppm 含有しているが、イネごま葉枯病が多発生する地域では10ppm 以下と極端に少ない。このような水田ではマンガンを含有する肥料の施用により易還元性マンガン含有量を増加することができる(図1)。
  2.  収穫期の稲体のマンガン含有量は、特に茎葉において無施用よりも高くなる。このため、収穫後の稲わらをほ場に還元することで土壌のマンガン供給力が維持される(図2)。
  3.  マンガンを含有する肥料の施用により、収穫期の生葉数が増加し、イネごま葉枯病に罹病しにくくなり玄米収量が増加する(表)。玄米収量の主な増加要因は精玄米重歩合の増加と玄米粒厚が厚くなることによる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1.  イネごま葉枯病が多発する秋落ち水田に適用できる。
  2.  マンガンを30%含有する鉱さいマンガン肥料を用いた。平成21 年にマンガン肥料区、マンガン肥料倍量区とも基肥として10a 当たり40kg を施用し、平成22 年にマンガン肥料区は10a 当たり40kg、マンガン肥料倍量区は10a 当たり80kg を基肥として施用した。栽培品種はコシヒカリである。
  3.  水田土壌の易還元性マンガン含有量には基準値が設定されていないが、1,000ppm を超えるとマンガン過剰症の発生が懸念されることから、土壌診断に基づいて適切な施用を行う必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:1)水田における含鉄けい酸質資材の効果検証、2)秋落ち田(イネごま葉枯病発生圃場)に対するマンキチの効果確認試験
予算区分 :1)共同研究、2)農林公社受託
研究期間 :平成22〜24 年度
発表論文等:ESAFS 10th 国際会議および日本土壌肥料学会鳥取大会
農業総合研究所基盤研究部 連絡先 TEL 0258-35-0826
FAX 0258-35-0021