活用技術 平成24年度
永年牧草地における土壌蓄積リン酸を活用したリン酸肥料の節減
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[要約]

 リードカナリーグラス主体永年牧草地において可給態リン酸(トルオーグ)が約45mg/100g乾土以上あれば、リン酸肥料を100%または50%削減しても化学肥料を用いた慣行栽培と同等の収量が3年間得られ、リン酸肥料を節減できる。

[背景・ねらい]

 肥料価格が高騰する中にあって、堆肥や化学肥料由来の肥料成分が過剰蓄積している農地土壌が県内には多い。コスト低減のため土壌中に蓄積したリン酸成分の有効活用が求められているが、土壌に蓄積した養分の有効活用はなされていない。そこで、土壌に蓄積したリン酸成分を利用した施肥方法を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1.  リードカナリーグラス主体の永年牧草地において、土壌中に過剰蓄積したリン酸成分 (トルオーグリン酸:約45mg/100g乾土、ブレイUリン酸:約128mg/100g乾土)を利用 し、化学肥料のリン酸成分を100%または50%削減しても、化学肥料のみを施用した慣 行と同等の収量が得られる(表1、図)。
  1.  3年間化学肥料のリン酸成分を100%または50%削減しても牧草のリン酸吸収量は化 学肥料のみを施用した慣行区と有意差が無く、土壌中の有効態リン酸でリン酸肥料を代 替できる(表2)。
  1.  年間乾物収量約800〜1000kg/10aの場合(図)、年間平均リン酸吸収量は約7〜8
     kg/10a(表2)であり、3年間を通してリン酸100%削減区では約12mg/100g乾土、50% 削減区で約6mg/100g乾土の可給態リン酸が減少している(表3)。
  1.  本試験では慣行区と比較し、100%リン酸削減区で4,981円/10a(51%)、50%リン酸 削減区で3,679円/10a(38%)の肥料費の節減がされる。

[成果の活用面・留意点]

  1.  永年草地(維持管理草地)の土壌サンプリングは表層から深さ5cmで行う。
  1.  草地土壌の可給態リン酸(トルオーグ)の改良目標値は5mg/100g乾土である。
  1.  徐々に利用される土壌中の蓄積リン酸量を把握するために、定期的な土壌診断が必要 である。
  1.  経費は栽培開始時の平成21年の価格を用い試算した。
  1.  本試験の窒素肥料には尿素を用いた。

[具体的データ]

表1 年間施肥量(kg/10a)

図 乾物収量(kg/10a)

表2 リン酸吸収量(kg/10a)

表3 土壌中の可給態リン酸、ブレイUリン酸の推移(mg/100g乾土)

[その他]

研究課題名:環境と経営にやさしい化学肥料削減技術の確立
予算区分  :県単特別
研究期間  :平成21〜23年度
発表論文等:なし
農業総合研究所畜産研究センター 生産・環境科 連絡先 TEL 0256-46-3103
FAX 0256-46-4865