活用技術 平成22年度

「こしいぶき」の水稲育苗箱全量施肥法

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[要約]

 水稲育苗箱全量施肥専用の被覆尿素肥料(シグモイド型100日タイプ)を用いて「こしいぶき」においても本田の施肥作業を省略できる水稲育苗箱全量施肥が可能である。コシヒカリ同様、施肥窒素量を慣行に比べて約3割削減できる。

[背景・ねらい]

 肥料成分の正確な溶出調整が可能な被覆尿素肥料の開発によって、コシヒカリの水稲育苗箱全量施肥法が確立されているが、「こしいぶき」では適用されていない。そこで、「こしいぶき」における育苗箱全量施肥の適用性を明らかにし、施肥作業の大幅な労力軽減を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 被覆尿素肥料(シグモイド型100日タイプ:以下LPS100)からは、穂肥時期にあたる幼穂形成期から出穂期までに約30%の窒素が集中して溶出する(図1)。
  2. 苗質を比較すると、苗の充実度や発根力は慣行施肥と同等である。マット強度は慣行施肥より劣るが、移植作業に支障は少ない(表)。
  3. 施肥窒素量を慣行施肥に比べて約3割削減しても慣行施肥並の収量が確保できる。玄米タンパク質含有率は慣行施肥より高まるが、目標値の6.2%以下であり、食味への影響は小さいと思われる(図2)。
  4. 整粒歩合は慣行施肥と同等であるが、白未熟粒は少なくなる傾向がある(図3)。
  5. 育苗期間中の追肥や本田での施肥作業を省略することができる。

[成果の活用面・留意点]

  1. 施肥作業の工程等は、平成11年度活用技術「育苗箱へのシグモイド型被覆肥料施用によるコシヒカリの全量基肥施用法」を参照する。
  2. 作物研内水田で栽培した結果である。育苗は加温出芽、プール育苗で実施した。地力が低い水田や気温の低い中山間地などでは初期茎数の確保が難しい場合がある。
  3. 水稲育苗箱全量施肥専用肥料(苗箱まかせ)にはリン酸成分が含まれていない。
  4. 箱当りの施肥量は、本田施肥窒素量と育苗箱数によって決める。床土には育苗用肥料を慣行の半量施用する。

[具体的データ]

注)施肥窒素量(10a当り成分、平成19〜21年の実施肥量の平均)
慣行施肥:基肥3kg、穂肥1.5+1.5kg(−25+−16)、LPS100:3.9kg

[その他]

研究課題名:収量・品質の高位安定化に向けた主要作物の栽培技術の改善
  予算区分:県単経常
  研究期間:平成19〜21年度
発表論文等:なし
農業総合研究所 作物研究センター 栽培科 連絡先 TEL 0258-35-0836
FAX 0258-35-0021