スギ材の高温乾燥技術

[要約]

 スギ乾燥材生産のための高温乾燥の基本乾燥スケジュールを確立した。
 また、乾燥による収縮率の目安と、乾燥割れによる曲げ強度の低下がないことを確認 した。

[背景・ねらい]

 住宅の建築工期の短縮、高気密化、プレカットの普及及び関連法令の制定・改正等を背景に寸法安定性が高く、材料性能の信頼性が高い乾燥材の需要が高まっている。しかし、県産材(ほとんどがスギ材)における乾燥材率は1割程度と低い。
 近年、乾燥材の必要性が認識され、乾燥施設を導入して乾燥材生産に取り組む事例が増えているが、スギ材が難乾燥材であることもあり、高品質な乾燥材を生産している所は少ない。
 そこで、スギ材の効率的乾燥技術である高温乾燥法について基本技術を確立し、乾燥材の性質について調査を行った。

[成果の内容・特徴]

  1. 県産スギ構造材のための高温乾燥の基本スケジュールを確立した(表1)。この乾燥スケジュールでは200時間程度で、初期含水率が平均84.1%(52.1〜122.4%)の正角材(135mm角 長さ3m 168本)が平均含水率19.8%(11.9〜33.4%)に仕上がった。
  2. この乾燥スケジュールでの正角材の収縮率は、含水率20%までの乾燥で、最大3.0%程度である(表2)。
  3. 高温乾燥では内部割れが発生することがあるが、内部割れにより材の曲げ強度が低下しないことを確認した(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成果に既往の研究成果を加えて乾燥マニュアルを作成した。
  2. スギ材の乾燥は難しく、生産現場では基本スケジュールではうまくいかない場合があるので、乾燥マニュアルではスケジュール改良のポイントも併せて示した。
  3. 作成した乾燥マニュアルを使って乾燥講習会等を行う予定である。

[具体的データ]

  1. 乾燥スケジュール
    高温乾燥の基本スケジュールは次の通りである。
 表1 高温乾燥の基本スケジュール
ステップ 乾球温度(℃) 湿球温度(℃) 継続時間(h)
95 95 14
120 90 18(〜24)
90 60 168(〜192)
    200(〜230)
  1. 収縮率
    収縮率の目安を試験結果から導いた。参考のため他の乾燥方法の目安も示す。
 表2 収縮率の目安(正角材)
乾燥方法 仕上がり含水率
15% 20%
  平均 最大 平均 最大
高温乾燥 2.7% 3.5% 2.3% 3.0%
天然乾燥 1.5% 2.0% 1.2% 1.5%
蒸気式中温乾燥 1.6% 2.5% 1.4% 2.0%
注: 例えば120mm角に仕上げる場合、仕上がり含水率を15%とすると高温乾燥では125mm角以上に製材する必要がある。ただし、実際には曲がりやねじれを考慮して、更に5〜10mm程度上乗せが必要である。
  1. 乾燥割れと曲げ強度の関係
    高温乾燥による内部割れが木材の曲げ強度を低減させないことを確認した。参考のため表面割れと曲げ強度の関係もあわせて示す。
 図1 内部割れと曲げ強度の関係
 
 図2 表面割れと曲げ強度の関係(参考)

[その他]

研究課題名:県産スギ材の効率的乾燥システム調査
          県産スギ材の効率的乾燥システムの確立
予算区分:国補
研究期間:平成13〜15年度
発表論文等:新潟県森林研究所研究報告 45号(2004)
森林研究所 森林・林業技術課 連絡先 TEL 0254-72-1171
FAX 0254-72-0019