タンパクが低く、精米特性に優れる酒米新品種「越淡麗(新潟酒72号)」

[要約]

  新潟オリジナルの大吟醸酒が醸造できる画期的な酒造好適米品種として「越淡麗(新潟酒72号)」を開発した。「越淡麗(新潟酒72号)」は「五百万石」より出穂、成熟期とも15日程度遅い晩生種である。大粒で玄米タンパク質含有率が低く、40%以上の高度精白に耐える。

[背景・ねらい]

  当県の主力品種である「五百万石」は50%を超える高度精白に耐えられないことから、大吟醸酒の醸造には長らく、他県産の「山田錦」が用いられてきた。県酒造組合では、県産米を100%用いた大吟醸酒の製造によって、更なる需要拡大を目指しており、「山田錦」に匹敵する酒造特性を有し、新潟県での栽培に適した大吟醸酒用の酒造好適米品種の開発が強く求められていた。そこで、新たな酒造特性評価法を開発することによって、大吟醸酒の醸造に適する酒造好適米系統の選抜を効率化し、新潟オリジナルの大吟醸酒が醸造できる画期的な酒造好適米品種として「越淡麗(新潟酒72号)」を開発した。

[成果の内容・特徴]

  1. 「越淡麗(新潟酒72号)」は「山田錦」を母、「五百万石」を父とする酒造好適米で、出穂、成熟期ともに「五百万石」より15日程度、「コシヒカリ」より1週間程度遅い晩生種である(表1)。
  2. 草型は穂重型で、稈長は「五百万石」より10cm以上長く、細稈で稈質は柔らかい。成熟期には止葉が垂れ、穂軸の抽出が目立つ。短芒が少程度生じる(表1、図1)。
  3. 穂発芽性は易、耐倒伏性は弱、脱粒性は難である。いもち病抵抗性は葉・穂ともに弱である。収量性は「五百万石」に比べ劣るが、「山田錦」より優れる(表1)。
  4. 心白はやや小さく、発現率は「五百万石」より少ないが、大吟醸酒の醸造に適する線状心白を生じる(図2)。腹白粒と発芽粒が生じ易いため、玄米の見かけの品質は両親よりやや劣る(表1)。
  5. 千粒重は26.1gと「五百万石」に比べ重く、タンパク質含有率も低い。精白米の初期吸水は「五百万石」並に緩やかで原料米処理が容易である(表1)。精米特性に優れ、40%以上の高度精白に耐える(表2)。
  6. 生成酒は「柔らかくてふくらみ」があり、「淡麗できれい」な「五百万石」や「やや甘みが強く、味わい」がある「山田錦」とは異なると評価されており、新たな新潟清酒の商品開発への貢献が期待できる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「越淡麗(新潟酒72号)」は平成16年度中に種苗登録を申請する予定である。
      (登録番号:第15536号、登録日:平成19年8月7日)
  2. この品種は、長稈で耐倒伏性に弱く、穂発芽性が易で、いもち病抵抗性も弱であるため、多肥栽培は厳に慎み、倒伏に起因する玄米品質の低下といもち病の発生に十分留意する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:水稲の基幹新品種の育成
予算区分:県単経常
研究期間:平成9〜15年度
発表論文等:日本育種学会第105回講演会で発表
農業総合研究所 作物研究センター 育種科 連絡先 TEL 0258-35-0047
FAX 0258-35-0021