花粉管理したスギ採種園の種子生産技術

[要約]

  特定形質の家系品種を育成する施設採種園の花粉管理方法を検討した。目的花粉の受粉率を高めるには、採種木の開花最盛期に花粉の人工散布を2〜3回実施する。

[背景・ねらい]

  スギ花粉症対策としての「無花粉スギ」など、特定形質の家系品種(実生苗)育成においては、ビニールハウスなどを用いた施設採種園で、厳密な花粉管理を行った遺伝的均一性の高い種子生産が要求される。
  そこで、施設採種園種子生産における適切な花粉管理方法について検討した。

[成果の内容・特徴]

  1. 簡易なビニールハウスを用い、花粉管理方法として、花粉の人工散布採種園と花粉飛散専用木を混植した採種園(花粉木採種園)を設定した(図1・2)。
  2. 目的花粉の受粉率を推定するため、標識遺伝子として黄金スギ花粉を用いた(黄金スギ花粉を受粉した種子は95%の黄金スギ苗を生産する)。
  3. 人工散布採種園の捕捉花粉量は散布量が多い区で多くなる。種子充実率は試験区間に差がない。目的花粉の推定受粉率は、基準量区<倍量区である(5%水準)(表1)。
  4. 花粉木採種園では、花粉木の密度が高いと捕捉花粉量も多くなるが、種子充実率と推定受粉率は試験区間に差がない(表2)。
  5. 花粉木採種園は、自然開花による長期受粉であるため目的外花粉の汚染を受けやすい。
  6. 目的花粉の受粉率を高める有効な花粉管理方法は、採種木の開花最盛期に瞬間的に花粉濃度を高めることができる人工散布を2〜3回実施するのが良い。
  7. 種子充実率および目的花粉の受粉率を高めるための散布花粉量は、4.5×4.5mの採種園で29g(9.64g×3回)程度である。

[成果の活用面・留意点]

  1. 採種園は、目的外花粉の汚染を防ぐためにスギ林が隣接しない所(200m以上)に設定する。
  2. 採種専用木が雄性不稔個体であれば除雄の必要はないが、精英樹等の場合は除雄作業を行う。
  3. 目的外花粉の汚染を防ぐには、加温できる施設で開花を促進させ、目的花粉の受粉率を高める工夫が考えられる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名:スギ家系品種採種園の種子生産技術
予算区分:県単経常
研究期間:平成10〜14年度
発表論文等:
森林研究所 森林・林業技術課 連絡先 TEL 0254-72-1171
FAX 0254-72-0019

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